皆さんこんにちは。Oculus3機種の比較記事を書かせてもらった「chiroP」と申します。今回はあまり知られてないけど実はNHKなどでも使われた実績もある「バーチャルキャスト」についての皆さんに紹介して行きたいと思います。
■バーチャルキャストとは?
「Virtual Cast(バーチャルキャスト)はドワンゴとインフィニットループの共同開発(現在は株式会社バーチャルキャスト)したVRライブ・コミュニケーションサービスです。2018年4月13日に『【第3弾】ニコニコ超会議2018発表会』で発表されました。同日にサービス開始となりました。(詳しい経緯についてはウィキペディアの記事をご覧ください)
バーチャルキャストは「VRChat」に比べて知名度やユーザー数は少ないのですが、実はAbemaTVの「にじさんじのくじじゅうじ」やNHKの「沼にハマってきいてみた」でも使われこともありました。大人の事情で名前が出せなかったケースもありますが、数々のVtuberなどのライブにもバーチャルキャストの技術が使われていたりもしています。(バーチャルキャストの実績紹介は公式HPでご確認してください)
2020年8月8日~10日には初音ミク公式VRワールド『MIKU LAND GATE β』もバーチャルキャストで開催予定です。
アストネスでは、2020年7月10日から8月10日までMIKU LAND GATE βとのコラボキャンペーンを実施しています。MIKU LAND特別仕様のValve Index、Oculus Rift S、Oculus Questをレンタルできるほか、当店の各種サービスをご利用の方にオリジナルミニステッカーをプレゼントしています。
(プレスリリース)初音ミク公式VRワールド『MIKU LAND GATE β』×「アストネス」コラボキャンペーンを実施
バーチャルキャストはソーシャルVRアプリ代表格の「VRChat」やスマホにも対応して急成長している「cluster」などに似ているように見えますが、実際はかなり違うソーシャルVRアプリになります。とりあえずVRを始めてソーシャルVRアプリをやってみたい方向けにバーチャルキャストのおススメできるポイントを紹介していきたいと思います。
①導入が簡単!
バーチャルキャストは、パソコンと繋げて利用するVR機器(以下「PCVR」)を必要とするソーシャルVRアプリの中では導入が簡単です。steamからsteamVRとバーチャルキャストをインストールして起動するだけです。「VRChat」は全部英語表記でネットで事前に調べておかないといけないですが、バーチャルキャストは日本語表記なのでわかりやすくなっています。チュートリアルも日々更新されているので初めてバーチャルキャストを遊ぶ人にとってはとてもわかりやすいと思います。
(詳しくはこちらから「初心者ガイド」)
②「THE SEED ONLINE」連携で簡単にアバターやアイテム、背景を簡単に取り込める!
「VRChat」ではアバターをアップロードするだけでもUnityを使わないといけません。Unityの操作方法やアップロードのやり方を自分で行うのは知識がないと大変な作業になります。しかしバーチャルキャストでは「THE SEED ONLINE」と連携を行うことでUnityを使わずにアバターを取り込んだり、公開されているアイテムや背景を取り込むことができます。
「カスタムキャスト」の公式チャンネルに入会(月額500円税別)すると「THE SEED ONLINE」と連携することでアバターを簡単に編集してアップロードすることができます。「THE SEED ONLINE」ではないですが、「Vカツ」でアバターを編集して「キャラチケット(5,000円)」を購入すると「ニコニ立体」にアバターをアップロードしてバーチャルキャストに取り込むことができます。オリジナルアバターをUnityを使わずアップロードできるのは初心者にとってやりやすいと思います。
左がVカツモデル、右がカスタムキャストモデル。簡単にオリジナルアバターを作成できます。
③いろいろなVCIで遊ぶことができる!
VCI(Virtual Cast Interactive)とは、バーチャルキャスト内で使うことができる背景・アイテムデータになります。「cluster」でもアイテムを使うことができますが、バーチャルキャストでは多種多様なアイテムを「THE SEED ONLINE」と連携することで使うことができます。ボーリング、釣り、卓球などのスポーツをするためのVCIや体に装着することでドレスアップすることなど様々なVCIが使うことができます。「THE SEED ONLINE」でいろいろなVCIを試してみるのも楽しいと思います。
④他のユーザーの所へ気軽に凸することができる!
バーチャルキャストには凸機能というものがあります。凸機能は部屋主が凸を許可していると凸リストに表示され、その部屋主のスタジオに行くことができます。
凸を許可している場合は誰が凸してもOKということなので、気軽に凸できるのは交流の輪を広げるのに役立っています。現在の仕様では、配信していないと凸リストには表示されないので、公式ページで配信一覧を見て事前にどういうことをしているのか確認することもできます。もし初対面で不安がある場合は配信を見て凸するかどうか判断するといいでしょう。
「VRChat」や「cluster」はイメージ的には広場に大勢の人が集まっている感じで、バーチャルキャストは最大7名までと入れる人数に限りがあって会議室というイメージになります。この辺は個人の趣向に分かれますが大勢よりも人数が少ない方が会話を聞くことが容易であることは確かでしょう。決して「VRChat」や「cluster」のような大人数が悪いということでありません。大勢とワイワイ楽しみたいという方も大勢います。バーチャルキャストにも公式スタジオという最大16人まで入室できるところがありますが、あまり活用されてないことからバーチャルキャストは少人数でコミュニケーションを取りたいというユーザーが多いのかもしれません。
一緒にソーシャルVRアプリをやってくれる方がいいのですがいきなり一人でソーシャルVRアプリを使ってみるのには躊躇してしまう方もいると思います。どのソーシャルVRアプリでもそうなのですが初心者の方には基本的に誰でも優しく接してくれるのでわからないことがあったら他のユーザーに聞いてみるといいでしょう。
⑤カメラ機能、配信機能が充実している!
バーチャルキャストの特徴としてカメラ機能が「VRChat」や「cluster」よりも充実しています。
バーチャルキャストは元々いろいろな動画配信サイトと連携して配信を行うことができます。そのためなのか他のソーシャルVRアプリよりもカメラ機能がいろいろと使いやすいようになっています。カメラのズームなども簡単にできるようになっており直感で操作できると思います。もしバーチャルキャストを使った配信を行いたいのであればハンディカメラ(ストリーミングカメラのような物)でカメラを操作して視聴者に見せたい映像を見せることもやりやすいでしょう。
「ニコ生」や「showroom」と連携していれば視聴者がコメントした文字やユーザーアイコンがVR空間上に落ちてきます。意外と面白いギミックなので体験してみるといいと思います。
また「Vギフト」という機能があり視聴者からVギフトを貰うことができます。季節によって変わるVギフトもありますのでぜひ配信にチャレンジしてみるものいいかもしれません。
⑥トラッカーを使ったフルトラッキングの動きがいい!
VIVEシリーズやINDEXでは、HTC VIVEトラッカーを使ってフルボディトラッキング(頭と両手だけでなく腰の動きや足の動きまでトレース)することができます。これは「VRChat」でもできるのですが、トラッカーが3つまででキャリブレーションがちょっとだけ面倒なところがあります。バーチャルキャストではアバターを選択してTポーズ(足を閉じて両腕を平行に伸す姿勢)をするだけで、データの読み込み完了後にキャリブレーションが完了します。またコントローラーやトラッカーの動きをアバターにうまく組み込むためのモーションフィルターを搭載しています。またトラッカーを7個使った10点トラッキングをすることも可能です。正直トラッカー3つを使った6点トラッキングでも十分フルボディトラッキングを楽しめますが、肘の動きは6点トラッキングでは反映されません。VR内で踊ってみたい方はトラッカーが多いほどより正確な動きができるのでチャレンジしてみるといいでしょう。
■バーチャルキャストに必要な物は何?
バーチャルキャストのおススメポイントを紹介してきました。ここからはバーチャルキャストで遊ぶためには何か必要な物を紹介していきます。実はこれがバーチャルキャストの弱点とも言える部分かもしれません…。
①Oculus Quest、Oculus GoなどのスタンドアロンVRやスマホVRには非対応
現在のバーチャルキャストではOculus Quest、Oculus Go単体やスマホVRには対応していません。バーチャルキャストは動作が重くスタンドアローン(単独で動作している)型の端末だけでは現状遊ぶことができません。Oculus Questは「Oculus Link」の機能を使ってUSBケーブルでOculus Link動作要件を満たすPCに繋いでPCVRを楽しむことができます。
バーチャルキャストのロードマップにはOculus Questのようなスタンドアローン型で動くようにするとありますが、いつ実装されるのかは未定になっています。
②Windows 10搭載PCが必要 - Mac OS非対応
バーチャルキャストはWindows10にしか対応していません。いくら性能のいいiMacを持っていてもバーチャルキャストで遊ぶことはできません。「Boot camp」でWindows10をインストールして使う手法もあるみたいですが、いろいろと手間がかかるので素直にWindows10のPCを選んだ方がいいでしょう。残念ながらバーチャルキャストのロードマップではMac OSに対応する予定はないようです。
③動作要件を満たすハイスペックPCが必要
もしWindows10のPCがあっても最低限のスペックがないと動作しません。もし動作しても動きがカクカクしてまともに遊ぶことはできないでしょう。ゲーミングじゃないデスクトップPCやノートPCだとスペック的に厳しいと思います。バーチャルキャストに限らずVR系ソフトはスペックが要求されます。最低スペックを満たしているかどうか事前に確認しておきましょう。(パソコンの推奨性能と最小性能表は公式wikiをご覧ください)
モンスターハンター:ワールドとバーチャルキャストのシステム要件比較。バーチャルキャストの推奨スペックはかなり高い。
私見になりますが、バーチャルキャストなどのVR関連ソフトはCPU性能がよくないと動作に支障をきたします。推奨スペック以上の性能を持つCPUにしたほうがいいでしょう。逆にGPU(グラフィックボード)は推奨スペックより性能が落ちるRTX2060程度でも大丈夫だと思います。最低でもGTX1060 6GB以上のスペックはほしいところです。置くスペースがない等でゲーミングノートPCしか選択肢がない場合を除いてはゲーミングデスクトップPCを選ぶといいと思います。基本的に同じ性能でもゲーミングノートPCはゲーミングデスクトップPCよりも値段が高いと思ってください。
④PCVRが必要
動作要件を満たすPCの他に、PCVRが必要です。「VRChat」や「cluster」はデスクトップモードがありPCVRがなくてもプレイすることができますが、現在バーチャルキャストはデスクトップモードようなモードがありません。ロードマップにはPC向け視聴機能が実装される予定ですが「VRChat」や「cluster」のデスクトップモードとは違って、視聴のみできる機能になるみたいです。アバターを使ってあれやこれやをしたいのであればPCVRを用意しましょう。
■PCVRにはどんな種類があるのか?
PCVRがないとバーチャルキャストをプレイすることができないというのがわかっても「じゃあどのPCVRがいいの?」ということで悩む方もいると思います。PCVRは大きく分けて2種類あると考えるといいでしょう。HTCのトラッカーが使えるPCVRとトラッカーが使えないPCVRになります。トラッカーというのは主に腰や足につけて下半身の動きを反映させる機器だと思ってもらえればOKです。このトラッカーを使うか使わないかでどのPCVRを購入すればいいか検討するといいでしょう。
トラッカーが使えるのは主にHTCのVIVEシリーズ(VIVE cosmosは除く)になります。トラッカーが使えないのがFacebookのOculusシリーズがあります。他メーカーもPCVRを出していますがここでは割愛します。
①トラッカーが使えるVIVEシリーズ!でも値段が高額…
VIVEシリーズのメリットはトラッキング範囲が広くトラッカーを使うことができます。トラッカーを使うことで腰や足を動かすことが出来てVR上での表現の幅が広がります。例えば現実と同じような動きで座ったり横になったりすることも可能です。VR上で踊ってみたい、かわいい動きやかっこいい動きをしたい方はトラッカーは必需品になるでしょう。デメリットは現在販売しているVIVEシリーズ(VIVE Cosmos / VIVE Pro / VIVE Pro Eyeなど)は約10万円以上と高額です。ベースステーションというHMD(ヘッドマウントディスプレイ)やトラッカーを検知する機器を部屋に設置する必要があります。あと十分に動けるだけのスペースも確保しないといけません。日本のような部屋が狭い住宅事情ではかなり苦労する部分だと思っています。トラッカーは1個約13,000円と高く、現在入手しずらくなっています。足まで動かしたいとなると3個は揃えないといけないのでフルボディトラッキングする場合はいろいろと高額になります。
②コスパ最強のOculusシリーズ!しかしトラッカーは使用できない
Oculusシリーズ(Oculus Rift S / Oculus Link機能を使用するOculus Quest)はトラッカーを使うことができないですが、約5万円とVIVEシリーズと比較して安価です。現在販売されているOculusシリーズはHMD埋め込まれているカメラで頭やコントローラーの動きをトラッキングする方式なので外部センサーの設置スペースを必要としません。しかしトラッカーを使うことができないので、フルトラッキングしたくなった時はVIVEシリーズのVR機器を追加で購入しないといけなくなります。あとOculusシリーズも入手困難な状況が続いています。
自分の住宅環境やお財布と相談してどのVR機器が自分に適しているのか検討しないといけません。一概にこのVR機器を買っておけばすべてOKというのがないのでVR機器を勧める側も苦労します…。
■おわりに
今回はバーチャルキャストをピックアップした記事になっていますが、「VRChat」や「cluster」の他にソーシャルVRアプリはいろいろとあります。Facebookは2020年に「Facebook Horizon」をサービス開始予定など今後さらに増えてくると思います。他のソーシャルVRアプリではできることがバーチャルキャストできないこともあります。見た目は似ているかもしれせんがソーシャルVRアプリごとに特徴がいろいろと異なるので実際に体験してみて自分に合うソーシャルVRアプリを探してみてはいかがでしょうか?
残念ながらバーチャルキャストで遊ぶにはVRが動くスペックのPCとPCVRに対応したVR機器が必要になりますので敷居が高いのが現状です…。いづれはPCがなくても遊べるようになるみたいですが、いつ頃その機能が実装されるのかは未定です。8月8日~10日にはバーチャルキャストで初音ミク公式イベント「MIKU LAND GATE β」が開催されます。スマートフォンでもコンテンツを楽しむことができるようですが、体験できるコンテンツは一部に限定されています。全部のコンテンツを体験したい場合はやはりPCVRが必要になります。高額なPCとVR機器を購入してみていざやってみると自分には合わなかった、VR酔いでプレイできないなど十分考えられます。まずはレンタルして試してみてから購入を検討するのも一つの手段と言えるでしょう。
アストネスではVR機器のレンタルはもちろん、VR対応ゲーミングノートPCもレンタルしています。さらに8月8日~10日に開催される初音ミク公式VRワールド『MIKU LAND GATE β』とのコラボキャンペーンを実施します。キャンペーン期間中は『MIKU LAND GATE β』特別仕様のVR機器もレンタル可能です。レンタルするなら今しかないかも!?
ともあれ自分の生活環境に合ったVR機器はどれかを試してみて、良さそうだと思ったら購入して存分にVRライフをエンジョイしましょう!