【レビュー】話題の Zenith: The Last City で遊んでみました

 

 


 目次

 ● Zenith: The Last Cityとは?

 ● 総評 

 ● 特徴 

 - Oculusストア、Steam、PSVRで購入できます
 - シンプルなシステムとSAO(ソードアートオンライン)を思わせるUI(ユーザインタフェース) 
 - 武器・防具を作れる、強化できる
 - グラフィックは良いとは言えないが、とても軽い
 - すべて英語
 - 様々な世界観
 - 協力して敵を倒す楽しさ
 - 実は進捗が違うフレンドとは遊びにくい
 - 調理が楽しい
 - 空を飛べるのが楽しい  

 ● まとめ

 

  

 

 

 

  

 

Zenith: The Last Cityとは?

Zenith: The Last Cityは、VR版のMMORPGの一種です。そもそもMMORPGとは何か?Wikipediaには次のように書かれています。 

「MMORPG(Massively Multiplayer Online Role-Playing Game、マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲーム)とは、「大規模多人数同時参加型オンラインRPG」のことである。オンラインゲームの一種でコンピューターRPGをモチーフとしたものを指す。」(https://ja.wikipedia.org/wiki/MMORPGより抜粋)

言い換えると、冒険物のRPG(ロールプレイングゲーム)を基本的な世界観としつつも、各プレイヤーは戦士や魔法使い等の役目のどれか1つを選び、その役になりきり、他のプレイヤーと協力しながらクエスト(ストーリー)をクリアしていくゲームです。

 

日本を代表するMMORPGゲームでは、ファイナルファンタジーXIV(FF14)やドラゴンクエストXが有名ですよね。今回ご紹介するZenithはVRゴーグルが必須のVR版MMORPGという意味で新規性のあるゲームです。VR版のMMORPGの始まりとも言える作品で、今後のVR MMORPGの発展が期待されます。

元々Zenithは、クラウドファンディングで有名になっていて、2019年に21万ドル以上の寄付を集めて有名になりました。

参考:クラファン大成功のVRMMORPG「Zenith」調達額をさらに伸ばす(2019.9.14)
https://www.moguravr.com/zenith-2/

 

発売後のレビュー数からもその注目ぶりは伺えます。Steamでは発売後2週間でレビューは2000件以上、Oculusストア(Meta版)では4000件以上あり、高評価もしくは★4つ以上が9割近くになっており非常に好評と言えます。またSteamの方がゲームのプラットフォームとしては大きいにも関わらず、Oculusストアの方ではレビュー数がSteamの2倍であることから、Meta Quest2のユーザの多さが伺えます。

 

総評

非常にシンプルなゲームで、ゲーム初心者~中級者であっても十分楽しめます。ストーリー(クエスト)をすべてプレイした方のレビューを見ても約80時間となっており、100時間を越えない、程良い長さのゲームだとも言えます。

(迫りくる敵との迫力のバトルは興奮します)

 

ただ、日本人として一番気になる点はきっと「英語」だと思います。このゲーム、すべて英語です。ハードルが高いと思われる方もおられると思います。しかし、実際にレビューや知り合いの話を聞いて見ると、意外と英語が苦手でも遊べているようです。なぜかというと、クエストのクリア条件がプレイヤーの左側に地図上に視覚的に表示され、更にプレイエリア内でクエストの目的地が黄色い柱としてライティングされるため、次に何をすればよいのかあまり迷わないためだと思います。

メインストーリーをまじめに理解するためには英語が必須ですが、ゲームを楽しむためにストーリーを読む必要はないと思います。私はそこそこ英語を理解できつつも、英語が難しくて途中から理解できなくなり、結局ストーリーを読まなくなりました(笑)それでも十分楽しめます。

※2022年2月12日のアップデートで、初期のメインクエストに、英語を読めることが前提のチュートリアルクエストが加わりました。Synthesis Stationで武器・防具を作るためのチュートリアルのためのクエストです。何をすればよいか分からず困ったら、以下のサイトにクエストがまとまっているので、Chromeの翻訳機能を使って読むか、周りの日本人に聞いてみてください。

▷参考:クエストがまとまったサイト(英語)
https://ez.community/quests

 

しかし、シンプルゆえにゲームのコアユーザーにとっては退屈かもしれません。レビューの低評価で指摘されている「サーバとの接続がしばしば切れる」「グラフィックがおせじにも良いとは言えない」「バグが多い」などの指摘は確かにその通りです。α版なので仕方ない部分はあると思いますが、それらを差し引いたとしても十分に楽しめるゲームだと私は思いますが、ゲーム慣れしていると逆にそれらが気になってプレイを楽しめない点は否定できないと思います。今後のアップデートに期待ですね。

 

 

 

特徴

Oculusストア、Steam、PSVRで購入できます

Oculusストア版(Meta Quest/Quest2向け)が2990円、Steam版(HTC Vive、Valve Index等向け)が3090円、PSVR版が29.99ドルです(2022年2月13日現在)。お持ちのVRゴーグルで遊べるものを購入すればよいと思います。

優劣があるという話は特に聞きませんが、私個人のプレイを思い返すと敵の攻撃を避けるために体を回転することも多いため、無線で遊べるVRゴーグル(Meta Quest/Quest2)がお勧めです。ちなみにOculusストア版を購入すれば、Oculus LinkとMeta Quest/Quest2の両方で遊べるのでお得だと思います。

 私はSteam版を買いましたが、理由は単純です。セール中で少し値段が安く、500円クーポンを持っていたためSteam版を買いました。詳細は以下のZenithのページをご参照ください。

▷ Zenith公式ページ
https://play.zenithmmo.com/zenith/

 

シンプルなシステムとSAO(ソードアートオンライン)を思わせるUI(ユーザインタフェース)

直感的な操作性のためゲーム初心者でも難しくありません。目の前の空間上に表示されるメニューからアイテム管理や装備変更等を行います。

▽戦闘時

ブレードマスター(剣士)の場合は、両手の剣を振って敵を攻撃や防御を行い、トリガーを引きながら上下等方向に動かすことで特殊スキルを付与して、大ダメージやステータス異常を与えることができます。

(ブレードマスター(剣士))

エッセンスメイジ(魔法使い)の場合は、飛び道具で攻撃し、トリガーを引きながら手を上下左右に振るアクションで魔法を発動します。

(エッセンスメイジ(魔法使い)) 

ただ、シンプルで自然な操作ではあるものの、そもそも使用しているVRゴーグルに慣れていないと少々苦労するかもしれません。何をどう押せばどうなるか、VRゴーグルとしての基本操作を感覚的に理解するまでに時間を要するためです。それは他のVRゲームでも同じですね。

 

また、ゲームシステムもシンプルです。旅の途中にいるキーパーソン(!や?マークが表示されている人たち)に話しかけて、提供されるクエストをクリアし旅を進めていきます。

(フィールドマップ(この地図内すべてが冒険可能なエリア))

 

(クエスト提供者)

 

クエストを進める上で肝となるクエストのクリア条件も分かりやすく表示されます。プレイヤーの左手側に文字や地図として表示され、更にプレイエリア内に黄色い柱としてライティングされるため、次に何をすればよいのか迷うことも少ないと思います。

(目的地の黄色いライティング ※遠くからでも一目で分かる)

(クエストのクリア条件・進捗は左手側に表示されるので分かりやすい。)

 

武器・防具を作れる、強化できる

序盤は敵が落とす武器・防具を使えば十分進めることができますが、中盤から武器・防具を作らないと進めることが難しくなっていきます。Synthesis Station(シンセシス ステーション)を使うと、顕著に強力な武器や防具を作ることができます。

(Synthesis Station)

 

しかし作るためには、比較的レアなアイテムが大量に必要です。宝箱や戦闘イベントで入手できます。

(赤い柱が立っている場所が戦闘イベント。剣のマークの場合は、敵を一定数倒すとクリアになる。敵の数が多いので複数人で倒すと楽。なお、敵を倒す以外にも「敵の侵入から守る」「アイテムを集める」イベントもある。)

 

なお、強化の仕組みとしてLotusを使うことができますが、数回程度の強化ではほとんど効果が分からないくらいの変化のため効果は薄いように感じます。

(Lotusでブーツを強化できる。レバーを引くと一定量のアイテムを消費して強化できる。中央に表示されるパーセンテージが成功確率で、成功確率が低くなると失敗することもある。失敗してもアイテムは消費されてしまう。ソードアートオンラインの強化システムと似ていますね。)

 

グラフィックは良いとは言えないが、とても軽い

グラフィックはお世辞にも良いとは言えません。ひと昔前のカクついたポリゴンのようなキャラクターを採用しており、口や目も動きません。VRChatなどのVRSNSでは、非常に精細なポリゴンが使われていて、言葉と口の動きが連動する(リップシンク)等、よりリアリティの高いVR世界が実現されており、精細なポリゴンの世界に慣れていると昔のグラフィックという印象を受けます。

(私の使うアバター(顔のパーツや髪型、性別等を選択することでアバターを作れる))

 しかし、グラフィック処理が軽いのでゲームが重くならず、快適にプレイできる点はメリットです。実際に私が使っている古いゲーミングPC(2015年製PCにRTX2070sを搭載)でもプレイ中に処理負荷超過で落ちることもないですし、動作が遅くなることもありませんでした。ゲームとのインタラクティブ性を高めるという点では、グラフィックを落とすというのもゲームを作る上での一つの選択肢と言えるかもしれませんね。

 

 

 

 

すべて英語

基本的にすべて英語です。現状では、多言語対応の兆しも見られないため、英語のみでプレイすることを前提に楽しむのが良いと思います。

 ただ、英語が分からなくても楽しむことは可能です。「じゃあどうやって操作を身に着けるのか?」というと答えは非常にシンプル。好奇心で操作しているうちに、自然と操作できるようになっていきました。分からない点は近くの日本人に聞いたりもしました。日本人かどうかは、ネームプレートの名前が日本人と思わせる名前かどうかで判断します。稀ですが、日本人のような名前で英語しか話さない人とも出会ったこともありますが…(笑)

なお、どうしてもクエストの内容が分からなくて進めない方は、以下のページが参考になります。以下のページも英語ですが、Chromeの翻訳機能で翻訳するなどして、内容を理解できると思います。その他、Zenithの公式Twitterやサイトも参考になります。

▷ クエストがまとまったサイト https://ez.community/quests

▷ Zenithの公式Twitterアカウント https://twitter.com/ZenithMMO

▷ Zenithの公式ページ https://play.zenithmmo.com/zenith/

 

様々な世界観

現実に近いけど違う世界を冒険できるのがとても楽しいです。最初はスラム街から始まり街を経て、草原に出ます。途中には和テイストの庭園のような場所もあり、開発元がRAMEN VRという名前からも分かるように日本を意識していると思われる作りも見られます。そもそもこのゲーム自体がソードアートオンラインを意識して作られたゲームなのだそうです。

 

 

協力して敵を倒す楽しさ

「複数人で敵を倒すのがこんなにも面白いのか!」と初めて知りました。

 ただ、実は複数人でプレイすること自体は、FF14などのMMORPGでも既に実現されている世界観のため真新しいというわけではありません。私も過去にFF14をプレイしたこともありましたが、当時はゲームとしての斬新さを感じられませんでした。

それでも「Zenithは妙に楽しい」と感じた理由はきっと「VRならではの臨場感」のなせる業だと思っています。自分が非日常の冒険の世界に入り込んで指を使って魔法を発動したり剣を振って敵に攻撃したり、他のプレイヤーと共に戦い、目の前で攻撃されたり。時には反撃されてダメージを受けたりすることもありますが、ダメージを受けたら回復役は回復を行います。これらは従来のゲームでは作業と化す部分かもしれませんが、VRの場合はゲームの世界に入り込んで体験することができます。それがより臨場感を高め、没入感のある経験となり、楽しさを倍増させる「VRならでは体験」になると捉えています。

 

また見知らぬ人たちとの戦闘中にふと合流して人が増え、戦闘が有利になる状況もおもしろくて好きです。ほとんどは外国の方でみなさん英語で話をしていますが、英語が分からなくてもなんとなく雰囲気で状況が分かります。そして戦闘後は「Thank you」と言い合い、身振り手振りでコミュニケーションが取れる点も面白いです。身振り手振りはVRならではのコミュニケーションですね。

みんなが助けてくれる優しい世界だと感じます。

 

フレンド機能やパーティ機能もあります。フレンドになると、同じサーバーでフレンドが遊んでいる場合はフレンドの居場所がフレンド一覧に表示されたり、更にパーティを組むと地図上にも緑のアイコンで居場所が表示されます。

(緑色の人のアイコンがパーティの人の居場所)

 

実は進捗が違うフレンドとは遊びにくい

ゲームの特性上仕方ないと思いますが、進捗が近いフレンドと楽しむというのが原則だと思います。例えば、現実やVRChatのフレンドと待ち合わせをしても必ずしもクエストの進捗やレベルが同じではないので、同じクエストで遊べなかったり、バトルをするにしても一方が強すぎたり一気に倒してしまう状況にもなるため、楽しみは減ってしまうと思います。

 そのため、現実的には一人で遊ぶ方が多くなると思います。時々、近くにいる人と一緒にクエストをクリアしたり、フレンドと待ち合わせて遊んだりすることになるでしょう。そのため逆に、人と一緒にクエストに挑む・戦うことはレアな経験となるため、一緒にクリア出来たときは格別の喜びがあるのも事実です。

だからZenithでは「フレンドを作って遊ぶ」という遊び方の方が良いのかもしれません。TwitterでZenithにドはまりしている方のツイートを見ると、Zenith内でフレンドを作って楽しんでいる方もいます。

 

なお一応、フレンドシステムは存在するものの、フレンドにジョインができないため(相手のいる場所にワープすることができないため)、待ち合わせは大変です。事前にTwitterやdiscord等を使い「●●で待ち合わせ」という方法で待ち合わせをします。今後のアップデートで待ち合わせしやすくなると良いですね。

 

 

 

 

調理が楽しい

(メニューから調理台を表示し調理ができる)

Zenithの特徴の1つは「戦闘用のアイテムを調理で作れる」点だと思います。

調理では本当に調理をします。フライパンや鍋に食材を入れ、レシピに沿って調理すると目的のアイテムが出来上がります。フライパンから食材を落とし焦がすと失敗で、食材が無駄になります。現実の調理のようですよね。なお、調理のために事前に食材を集めておく必要があります。そのため、私のアイテムインベントリーの半分くらいは、食材や調理後アイテムで埋め尽くされています。

ただ調理中に若干不自然な演出もあって、フライパンに砂糖を乗せると、急にホットケーキのような物体に変化します。演出が粗いなぁとは思いつつも、ゲームとしては楽しめるので、このような表現でも十分ということなのかもしれませんね。

なお調理が楽しいという側面はありつつも、強いボスを倒すために純粋にアイテムが欲しい場合には、調理が面倒というのも事実です。敵が落としてくれる・宝箱で入手できる等、バランスが取れるようになると、もっと遊び勝手が良くなるかもしれませんね。

 

空を飛べるのが楽しい

(空も飛べる)

(空を飛んで黄色い輪をくぐるクエスト。輪を全部くぐれば経験値を獲得できる。この手のクエストでは通常、輪が10個あるため、一度で成功させるのは至難の業。)

空を飛べるのは格別の楽しさがあります。飛び方は4種類あってそれぞれ微妙に異なりますが、Basicはシンプルで簡単ですが、私はStrafeという飛び方を使っています。

Strafeでは、高い場所から両手を広げて腕の角度を微妙に調整しながら、長距離滑空ができて楽しいです。なお、飛び方を変えることができるという話は、たまたま強敵を共に撃破した外国の方から指導して頂きました。「お前、Basicの飛び方を使っている?もっと良い飛び方があるから教えるよ。」という形でフランクに教えてもらいましたが、最近私が英会話をサボっていて聞けたり聞けなかったりで戸惑いながら習得していきました(笑)

(飛び方の選択メニュー(Basic、Sensitive、Strafe、Headingの4種類)。飛び方の説明はないが、飛びながら感覚を掴む。お勧めは両腕の傾きでコントロール可能なStrafe。)

 

まとめ

 

ゲーム初心者でも楽しめるZenithは超お勧めのゲームです。BeatSaberやVRChatなど、VRゲームをある程度慣れた方が次に遊ぶゲームとしてZenithをプレイすると、また新しいVRの楽しさを知ることができると思いますので、是非プレイしてみて下さい。最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

(名物クエスト提供者MIKAと撮った1枚。なお公式サイトを見ると、MIKAはゼニス政府の役人という設定らしい。)

 

 筆者紹介

 

ひら吉/HIRAKICHI
 VRChat: ひら吉/HIRAKICHI
 Note: https://note.com/hirakichi
 書籍: https://amzn.to/36WEOXN
 Booth: https://hirakichi.booth.pm/

ブロガー・ITエンジニア・著者。
著作「VRのすごさ~30代の会社員が1年間没頭して見えたこと~」。

VR向けにnoteや書籍を書いてます。
ぜひ興味があればVRChatでお話ししましょう。
またBoothにVRChat向けモデルやギミックも置いています。